村上事務所

【空き地対策の羅針盤】土地家屋調査士が示す、未来の土地管理と私たちができること

【はじめに】他人事じゃない。あなたの街にも忍び寄る「空き地問題」のリアル

「空き地」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか。もしかすると、どこか遠い場所の話、自分にはあまり関係ないこと、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今、この空き地が日本中で増え続けていて、私たちの暮らしや社会に静かに、でも確実に影響を与え始めているのです。この章では、まず「空き地問題」がどれほど身近なものなのか、そしてなぜそんなことになっているのか、一緒に見ていきましょう。

増え続ける空き地。日本の現状をデータでチェック。

言葉だけでは実感が湧きにくいかもしれませんので、まずは数字で現状を見てみましょう。少し前のデータになりますが、ある調査(※国土交通省 国土政策局「令和4年度土地基本調査等(土地利用現況調査)」などを参照した報告書に基づいています)によると、驚くべきことが分かっています。

指標 2008年頃 2018年頃 変化のポイント
日本の一般世帯が保有する空き地の面積 (基準) 約2倍に増加 たった10年ほどで、個人が持っている使われていない土地がこんなにも増えたのです。
空き地率(全土地面積に占める空き地の割合) 約6.5% 約12.4% 日本全体の土地のうち、1割以上が空き地という状況に近づいていることを示しています。

この数字の変化を、例えば学校の校庭で考えてみましょう。もし校庭の半分近くが、誰も使わない草ぼうぼうの場所になってしまったら、子どもたちが遊ぶスペースも減りますし、なんとなく寂しい感じがしますよね。それと同じようなことが、もっと大きなスケールで日本中で起こっているかもしれないのです。

そして、ここで注目したいのは、企業が持っている空き地は減る傾向にあるのに対し、私たちのような一般の家庭、つまり「世帯」が持つ空き地が特に増えているという点です。これは、空き地問題が、企業の合理的な判断だけでは解決しにくい、もっと複雑な背景を持っていることを示唆しています。

なぜ。どうして。空き地が増える3つの大きな理由

では、どうしてこんなにも空き地が増えてしまったのでしょうか。その背景には、いくつかの大きな社会の変化が絡み合っています。主なものを分かりやすく整理してみましょう。

社会全体の大きな変化。人口の動きと年齢構成。

皆さんもニュースなどで耳にすることがあると思いますが、今の日本は、子どもが少なくなり、お年寄りが増える「少子高齢化」が進んでいます。そして、全体の人口も少しずつ減り始めています。

人口の減少

人が少なくなると、新しい家を建てたり、新しいお店を作ったりするための土地の必要性も、以前ほどは高くなくなります。特に地方では、その傾向が顕著です。昔は土地が足りないくらいだったのに、今は「土地があまっている」状況が生まれているのです。

例えるなら、以前は満員だった電車が、だんだん空席が目立つようになってきた、というイメージでしょうか。乗る人が減れば、たくさんの車両を走らせる必要もなくなりますよね。

高齢化の進行

土地を持っている人が高齢になると、体力的な問題や、新しいことを始める意欲の面から、土地を積極的に活用したり、手入れをしたりするのが難しくなることがあります。その結果、土地が使われないまま放置されてしまうケースが増えてくるのです。

土地のバトンタッチ。「相続」が空き地を生む。

これが、実は空き地が増える非常に大きな原因の一つです。2018年の調査では、空き地になっている土地のうち、なんと約73%、つまり4分の3近くが「相続」または「贈与(ぞうよ、無償で財産を譲り渡すこと)」によって取得されたものだったというデータがあります。

「とりあえず保有」という現実

これは、親や親族から土地を受け継いだけれども、自分で使う予定が特になかったり、どう活用していいか分からなかったりして、「とりあえず持っておこう」という状況が多いことを示しています。また、相続人が複数いる場合、みんなの意見がまとまらずに、結局そのままになってしまうこともあります。

おじいちゃんからもらった大切な万年筆。自分ではあまり使わないけれど、捨てるのも忍びないし、誰かにあげるのも…と、机の引き出しにしまったままになっている。そんな経験はありませんか。土地も、それと似たような状況で「使われないまま」になっていることがあるのです。

管理の難しさ

相続した土地が遠く離れた場所にあったり、土地の価値があまり高くなかったりすると、管理する手間や費用ばかりがかかってしまい、ますます放置されやすくなります。

土地の使われ方の変化。新しいニーズと古い土地。

時代の変化とともに、人々が土地に求めるものや、土地の使われ方も変わってきます。

新しい土地への需要

例えば、昔ながらの商店街よりも、郊外の大きなショッピングモールに人が集まるようになったり、一戸建てよりもマンションを選ぶ人が増えたりと、ライフスタイルは常に変化しています。その結果、昔は価値があった場所でも、今はあまり必要とされなくなることがあります。

住宅はもう足りている?

実は、日本の住宅の数は、すでに全ての世帯の数を上回っていると言われています。つまり、理論上は「家が足りない」という状況ではないのです。これも、新しい土地を開発して家を建てるプレッシャーを弱め、結果として使われない土地が増える一因になっています。

このように、人口の動き、高齢化、相続のあり方、そして土地利用のニーズの変化といった、様々な要因が複雑に絡み合って、空き地が増え続けているのです。一つ一つの要因は小さなことのように思えるかもしれませんが、それらが積み重なることで、大きな問題へと発展しているのですね。

空き地がもたらす、私たちの暮らしへの影響

さて、空き地が増えると、具体的に私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。「ただ土地が使われていないだけでしょ?」と思うかもしれませんが、実はそう単純な話ではないのです。

ご近所トラブルの種になることも。生活環境の悪化。

適切に管理されていない空き地は、様々な問題を引き起こす可能性があります。

見た目の問題、景観の悪化

雑草が生い茂り、ゴミが不法に捨てられたりすると、街の見た目が悪くなります。それは、その地域に住む人たちの気持ちにも影響しますよね。

もし、お隣の家の庭がずっと手入れされずに荒れ放題だったら、自分の家の窓からの景色も台無しですし、なんだか気分も良くないですよね。

衛生面や安全面での心配

雑草は害虫の発生源になったり、枯れ草は火事の原因になったりすることもあります。また、誰も見ていないような空き地は、不審者が隠れやすくなるなど、防犯上の問題も出てきます。これにより、地域の安全性が脅かされることも考えられます。

街の活気が失われる。経済的な損失と都市のスポンジ化。

空き地が増えることは、経済的な面でもマイナスな影響があります。

地域の魅力ダウンと資産価値の低下

使われない土地が増えると、その地域全体の活気が失われ、土地の価値も下がってしまう可能性があります。お店が減ったり、新しい家が建たなくなったりすると、街が寂れていく原因にもなりかねません。

都市のスポンジ化

これは、都市部で、まるでスポンジに穴が開くように、あちこちに小さな空き地や空き家が点在してしまう現象を指します。こうなると、街全体の機能が効率的に働かなくなったり、一体的なまちづくりが難しくなったりします。例えば、水道や電気などのインフラ(生活に必要な設備)を維持するのにも余計なコストがかかるようになるのです。

パズルのピースがいくつか抜けてしまっている状態を想像してみてください。絵が完成しないだけでなく、なんだか不安定な感じがしますよね。都市のスポンジ化も、それに似ています。

見過ごせない。所有者自身の負担。

そして、空き地を持っている所有者自身にも、負担がのしかかります。

税金と管理費用

土地は、使っていなくても持っているだけで固定資産税や都市計画税といった税金がかかります。さらに、近隣に迷惑をかけないように草刈りをしたり、フェンスを設けたりと、管理するための費用や手間も必要になります。

これらの負担が重荷となり、ますます管理が行き届かなくなり、結果として空き地の問題が深刻化するという悪循環に陥ってしまうこともあるのです。

この章のポイント

空き地問題のリアル

日本の現状

世帯保有の空き地面積が約2倍に増加(2008年比)
空き地率も12.4%へ(2018年)

増加の主な理由

人口動態の変化(人口減少、高齢化)
相続による取得(約73%)と管理の困難さ
土地利用ニーズの変化

暮らしへの影響

生活環境の悪化(景観、衛生、安全)
経済的損失(資産価値低下、都市のスポンジ化)
所有者の負担増(税金、管理コスト)

このように、空き地問題は、見た目以上に根が深く、私たちの生活や社会全体に関わる大きな課題なのです。そして、この問題を解決するために、様々な立場の人が知恵を絞り、対策を進めようとしています。

では、このような複雑な空き地問題に対して、専門的な知識や技術をもって解決の手助けをしてくれる人たちがいます。それが、このブログのテーマでもある「土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)」です。次の章からは、この土地家屋調査士とは一体どんな専門家なのか、そして空き地問題の解決にどのように関わっていくのかを、詳しく見ていくことにしましょう。

【頼れる街の専門家】「土地家屋調査士」ってどんな人。空き地問題とどう関わるの。

前の章では、日本で深刻化している「空き地問題」の現状や、その原因、そして私たちの暮らしへの影響について見てきましたね。空き地がただ増えているだけでなく、様々な問題を引き起こしていることがお分かりいただけたかと思います。では、この複雑な空き地問題を解決するために、どんな専門家が頼りになるのでしょうか。そこで登場するのが、今回の主役「土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)」です。

「土地家屋調査士」という名前、もしかしたら初めて聞く方もいらっしゃるかもしれません。「一体何をする人なの。」「空き地とどんな関係があるの。」そんな疑問が浮かんでくることでしょう。この章では、土地家屋調査士という専門家がどんな役割を担い、どんな知識や技術を持っているのか、そしてそれがなぜ空き地問題の解決に繋がるのかを、一緒にじっくりと解き明かしていきましょう。

土地家屋調査士のお仕事、基本のキ。

まず、土地家屋調査士が何をしている専門家なのか、その基本から見ていきましょう。彼らの仕事は、私たちの身の回りにある「不動産(ふどうさん)」、つまり土地や建物と深く関わっています。

不動産の「プロフィール」を作る専門家。「表示に関する登記」とは。

土地家屋調査士の最も重要な仕事の一つに、「不動産の表示に関する登記(ひょうじにかんするとうき)」という手続きがあります。

表示に関する登記とは。
土地や建物が「どこにあって(所在)、どんな種類で(地目や建物の種類)、どれくらいの広さや大きさで(地積や床面積)、どんな形をしているのか(図面)」といった、その不動産の物理的な現在の状況を、法務局という国の機関にある「登記簿(とうきぼ)」という公式な帳簿に正確に記録し、誰でも見られるようにする手続きのことです。これは、不動産取引の安全や円滑化のために非常に大切な制度です。

なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、例えるなら、土地や建物それぞれの「住民票」や「自己紹介カード」を作るようなイメージです。私たち一人ひとりに名前や住所、生年月日があるように、土地や建物にも、その「個性」を示す情報があるのです。それを公的な記録として正確に残すのが、土地家屋調査士の役割です。

例えば、皆さんが新しい家を建てたとします。その家が「どこに建っていて、どんな材料でできていて、何階建てで、各階の広さはどれくらいか」といった情報をきちんと測って、図面を作り、法務局に「こういう家ができましたよ」と届け出る。これが建物の「表示に関する登記」の一例(建物表題登記)です。

この「表示に関する登記」は、土地家屋調査士法という法律で定められた土地家屋調査士の独占業務であり、資格を持たない人は行うことができません。空き地問題においては、まずその空き地が法的にどのような状態にあるのか、その物理的な範囲や現況を正確に把握することが、あらゆる対策の出発点となります。そのため、この「表示に関する登記」のプロである土地家屋調査士の役割は非常に大きいのです。

ちなみに、不動産の登記にはもう一つ、「権利に関する登記」というものがあります。これは、その不動産の所有者は誰か、借金のために担保に入っているか(抵当権)といった「権利」に関する情報を記録するもので、こちらは主に司法書士(しほうしょし)という専門家が扱います。「表示」と「権利」、この二つの登記が揃って初めて、不動産の情報は完全なものとなるのです。

土地の「境界線」を明らかにするプロフェッショナル。

土地家屋調査士のもう一つの非常に重要な役割は、土地の「筆界(ひっかい、または境界とも呼ばれます)」を明らかにすることです。

筆界(ひっかい)とは。
土地が登記されたときに、その土地の範囲を区切るものとして定められた公法上の線のことです。一般的に言う「境界線」とほぼ同じ意味で使われますが、法律的にはこの「筆界」が基準となります。

お隣さんの土地との境目がどこなのか、はっきりしていますか。もし、この境界線が曖昧だと、お隣さんとの間で「うちの土地はここまでのはずだ」「いや、そちらが越境している」といったトラブルが起こりやすくなります。特に、長年放置された空き地では、境界を示す杭(くい)がなくなっていたり、昔の記憶が曖昧になったりして、境界が分からなくなっているケースが少なくありません。

想像してみてください。お隣さんと自分の家の間にフェンスを作ろうとしたとき、どこに作っていいか分からないと困りますよね。勝手に作ってしまうと、後で「そこはうちの土地だ」と問題になるかもしれません。

土地家屋調査士は、法務局にある古い図面や記録を調べたり、現地で精密な測量を行ったりして、この「筆界」を正確に特定します。そして、その結果を登記に反映させることで、土地の範囲を法的に明確にし、将来のトラブルを防いだり、起こってしまった紛争を解決に導いたりするのです。空き地を管理したり、売ったり貸したりしようとするとき、この境界がはっきりしていることは大前提となります。

測量技術と法律知識のスペシャリスト。土地家屋調査士のスキル。

土地家屋調査士が、これらの重要な仕事を行うためには、高度な専門知識と技術が必要です。それは、大きく分けて「測量技術」と「法律知識」の二つの柱から成り立っています。

正確な測量で土地の情報を把握。

土地家屋調査士は、まさに「土地のお医者さん」のように、土地の形状や面積、高低差などを精密に測定する「測量(そくりょう)」のプロフェッショナルです。

測量とは。

専用の機械や道具を使って、土地や建物の位置、形、大きさなどを正確に測る作業のことです。皆さんが学校で使う定規や分度器をもっともっと精密にしたような機械や、最近ではGPS(人工衛星を使った位置測定システム)や、光を使って距離を測るトータルステーションといったハイテク機器も駆使します。

例えば、皆さんが健康診断で身長や体重を測るように、土地家屋調査士は土地の「健康状態」ともいえる正確な寸法や面積を測ります。そして、その結果を基に、「地積測量図(ちせきそくりょうず)」や「建物図面(たてものずめん)」といった、法的な図面を正確に作成します。これらの図面は、登記を申請するときに法務局に提出され、不動産の物理的な状況を公に示す重要な資料となるのです。

法律知識を駆使して権利を守る。

ただ正確に測量できるだけでは、土地家屋調査士の仕事は務まりません。不動産に関わる法律、特に「不動産登記法」や「民法」といった法律の深い知識が不可欠です。

なぜ法律知識が必要か。

測量して得られた現地の状況を、法律のルールに従って正しく登記簿に反映させなければならないからです。例えば、土地を二つに分けたい(分筆登記)という依頼があった場合、どのように分けるのが法律的に適切か、どんな手続きが必要か、といった判断には法律知識が欠かせません。

このように、土地家屋調査士は、測量という技術的なスキルと、法律という専門知識を融合させて、不動産の表示に関する登記を適正に行うのです。空き地問題では、しばしば登記情報と実際の状況が食い違っていたり、境界が不明確だったりといった法的な問題も絡んできます。土地家屋調査士は、まず現地を正確に測量して物理的な事実を把握し、次にその事実を法的な登記記録に正しく反映させることで、問題を解決へと導く「橋渡し」の役割を果たします。

境界トラブル解決の味方。「ADR認定土地家屋調査士」。

土地家屋調査士の中には、さらに特別な資格を持つ人もいます。それが「ADR(えーでぃーあーる)認定土地家屋調査士」です。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは。
裁判所での訴訟(裁判)ではなく、当事者同士の話し合いを基本として、中立的な専門家が間に入って紛争の解決を目指す手続きのことです。「Alternative Dispute Resolution」の略です。

土地の境界に関するトラブルは、感情的な対立も絡んで、解決が難しくなることがあります。そんなとき、ADR認定土地家屋調査士は、法務大臣の認定を受けて、弁護士と共同で当事者の代理人となり、裁判ではなく話し合いによる円満な解決をサポートすることができます(筆界特定制度の手続き代理や、民間ADR機関における業務など)。

クラスで友達とケンカをしてしまったとき、先生が間に入って双方の言い分を聞き、仲直りの手助けをしてくれることがありますよね。ADRも、それに少し似ていて、専門家が中立な立場で問題解決のお手伝いをするイメージです。ただし、こちらは法律に基づいた専門的な手続きです。

このADRのスキルは、空き地が原因で起こる隣接地との境界トラブルなどを、円滑に解決する上で非常に役立ちます。

個人のため、みんなのため。土地家屋調査士の使命。

土地家屋調査士の仕事は、単に個々の依頼者の頼み事をこなすだけではありません。その仕事には、もっと大きな社会的な意義と責任が伴います。

法律に定められた使命。「国民生活の安定と向上に資する」。

土地家屋調査士の資格や業務について定めている「土地家屋調査士法」という法律があります。その第1条には、土地家屋調査士の使命が次のように書かれています。

土地家屋調査士法 第1条(抄訳)
「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資すること(役立つこと)を目的とする。」

これは、土地家屋調査士の仕事が、個人の財産を守ることに留まらず、不動産に関する権利関係をはっきりさせることを通じて、私たち国民全体の生活が安定し、より良くなることに貢献する、という高い目標を持っていることを示しています。

考えてみてください。土地の境界が曖昧で、どこまでが自分の土地か分からなければ、安心して家を建てたり、畑を耕したりすることもできませんよね。不動産の物理的な状況や範囲が明確になっていて、それが公的に記録されているからこそ、私たちは安心して不動産を取引したり、利用したりすることができるのです。土地家屋調査士は、その「安心の土台」を作っている専門家と言えるでしょう。

空き地問題解決は、まさに公益活動そのもの。

そして、この「国民生活の安定と向上に資する」という使命は、まさに空き地問題の解決に向けた取り組みと深く結びついています。前の章でお話ししたように、空き地問題は、景観の悪化、治安への不安、地域経済の停滞など、広い範囲にわたって社会にマイナスの影響を与えます。

土地家屋調査士が、その専門的な知識と技術を活かして、空き地の現況を正確に把握し、曖昧な境界を明確にし、登記情報を正しく整えることは、個々の空き地の問題を解決するだけでなく、次のような効果をもたらします。

不動産取引の安全性が高まる
正確な情報に基づいて安心して土地や建物を売買できるようになります。
円滑な土地利用が促進される
使われていなかった土地が活用されやすくなります。
地域社会の活性化に貢献する
街の景観が良くなったり、新しい事業が生まれたりするきっかけになります。

このように、土地家屋調査士が空き地問題に取り組むことは、まさに法律で定められた使命を実践し、社会全体の利益(公益)に貢献する活動なのです。彼らは、個別の依頼を待つだけでなく、地方自治体やNPO(非営利組織)と協力して、地域ぐるみで空き地対策を進めることにも積極的に関わっています。

この章のポイント

土地家屋調査士ってどんな専門家。

基本のお仕事

不動産の「表示に関する登記」の専門家

(例:土地建物のプロフィール作成)

土地の「筆界(境界線)」を明らかにするプロ

専門スキル

正確な「測量技術」

(例:土地の健康診断、専用機器の活用)

「法律知識」(不動産登記法、民法など)
「ADR認定」による紛争解決サポートも

使命と役割

土地家屋調査士法第1条

(国民生活の安定と向上への貢献)

空き地問題解決を通じた公益への貢献

(取引安全、土地利用促進、地域活性化)

これで、「土地家屋調査士」がどんな専門家で、どんな知識や使命感を持って仕事をしているのか、少しイメージが湧いてきたでしょうか。彼らが持つ測量技術や法律知識、そして社会に貢献しようという姿勢が、空き地という難しい問題に立ち向かう上で、いかに重要であるかがお分かりいただけたかと思います。

では、実際に土地家屋調査士が、この空き地問題に対して具体的にどのようなアプローチで解決に貢献していくのか、次の章でさらに詳しく掘り下げて見ていきましょう。

【土地家屋調査士が動く。】空き地問題を解決に導く5つのアプローチ

前の章では、「土地家屋調査士」という専門家が、不動産の表示に関する登記や土地の境界(筆界)を明らかにするプロフェッショナルであり、その仕事が国民生活の安定と向上に貢献するという大きな使命を担っていることを見てきました。では、その土地家屋調査士が、深刻化する空き地問題に対して、具体的にどのような行動で解決の糸口を見つけ出していくのでしょうか。

空き地と一口に言っても、その状態や背景にある問題は様々です。まるで、病気の症状や原因が患者さん一人ひとり違うように、空き地も一つとして同じものはありません。だからこそ、専門家による的確な「診断」と「治療」が求められるのです。ここでは、土地家屋調査士が空き地問題の解決に向けて取り組む、代表的な5つのアプローチを、分かりやすくご紹介していきます。

アプローチ1。境界線をビシッと確定。トラブルを未然に防ぐ第一歩。

空き地問題の解決において、まず基本となるのが「土地の境界線をハッキリさせること」です。これが、あらゆる対策のスタートラインと言っても過言ではありません。

「お隣さんとの境界、どこだっけ。」を解決。

長年使われていない空き地では、お隣の土地との境界を示す杭がなくなっていたり、昔の資料が不鮮明だったりして、どこまでが自分の土地なのか分からなくなっていることがよくあります。これを放置しておくと、いざ空き地を売ろうとしたり、何かを建てようとしたりした時に、お隣さんと「境界はここだ、いやあそこだ」ともめてしまう原因になります。

例えば、皆さんが自分の庭に新しい物置を置こうと考えたとします。でも、お隣さんとの境界線が曖昧だったら、どこに置いていいか迷いますよね。もし、お隣さんの土地にはみ出して置いてしまったら、大変なトラブルになりかねません。

土地家屋調査士は、法務局にある古い図面(公図など)や登記記録を徹底的に調査し、現地の状況と照らし合わせながら精密な測量を行います。そして、関係する土地の所有者さんたちと話し合いながら、法的な根拠に基づいて正確な筆界(境界線)を特定していくのです。この境界が明確になることで、空き地は初めて安心して管理したり、活用したり、取引したりできる「活きた土地」になるのです。

登記簿と現実を一致させる手続き。

境界が確定したら、その結果をきちんと法的な記録として残す必要があります。

地積更正登記(ちせきこうせいとうき)とは。
登記簿に記録されている土地の面積(地積)が、実際に測量した面積と違っている場合に、正しい面積に訂正する登記手続きのことです。(不動産登記法第39条などに関連)

地図訂正(ちずていせい)の申出とは。
法務局に備え付けられている地図や公図の記載が、実際の土地の形状や位置と異なっている場合に、それを修正するよう申し出る手続きのことです。(不動産登記法第14条第2項などに関連し、職権による訂正を促すことが多いです)

これらの手続きを通じて、登記簿という公的な帳簿に記録された情報と、実際の土地の状況がピタリと一致するようになります。これにより、「筆界未定地(ひっかいみていち)」と呼ばれる境界が不明確な状態が解消され、土地の権利範囲が誰から見ても明らかになります。これは、空き地の売買や開発といった次のステップに進むための、いわば「パスポート」を発行するような作業と言えるでしょう。

アプローチ2。眠っていた土地や建物を「見える化」。未登記・誤登記を正しく登録。

空き地になっている不動産の中には、建物が登記されていなかったり(未登記)、登記されていても情報が古かったりする(誤登記)ケースが少なくありません。これも、空き地の適切な管理や活用を妨げる大きな要因となります。

古い家、増改築した家…登記は大丈夫。

昔に建てられた建物や、物置のような小さな附属建物は、そもそも登記がされていないことがあります。また、長年の間に増築や改築を繰り返した結果、登記簿に載っている床面積や構造と、実際の建物の状況が大きく食い違っていることもあります。

私たちの情報も、引っ越しをしたら住民票を移したり、結婚して名前が変わったら届け出たりしますよね。建物も同じで、変化があったらその情報をきちんと更新してあげないと、いざという時に「あれ、この建物、本当はどうなっているんだっけ。」と困ってしまうのです。

土地家屋調査士は、現地を詳細に調査・測量し、建物の正確な情報(所在地、種類、構造、床面積など)を把握します。そして、その結果に基づいて必要な図面を作成し、法務局に以下のような登記手続きを行います。

建物表題登記(たてものひょうだいとうき)とは。
新しく建てた建物や、まだ登記されていない建物について、初めて登記簿にその物理的な情報を登録する手続きです。(不動産登記法第47条)

建物表題部変更登記(たてものひょうだいぶへんこうとうき)とは。
既に登記されている建物の床面積が増減したり、種類や構造が変わったりした場合に、登記簿の情報を現況に合わせて変更する手続きです。(不動産登記法第51条)

建物滅失登記(たてものめっしつとうき)とは。
建物が取り壊されたり、火事で焼失したりして無くなった場合に、その登記を抹消する手続きです。(不動産登記法第57条)

正しい登記が、適切な管理とスムーズな取引の土台に。

このように登記情報を正しく整えることは、空き家対策においても非常に重要です。例えば、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて、管理が不適切で危険な状態にある空き家が「特定空家等(とくていあきやとう)」に指定されることがあります。行政が指導や勧告を行う際にも、対象となる建物の情報が正確に登記されていることが前提となります。

未登記や誤登記の状態を解消し、不動産を法的な枠組みの中に明確に位置づけることで、所有者の責任がはっきりし、行政による適切な指導や支援も行いやすくなります。また、市場で売買したり貸したりする際にも、信頼性の高い情報が提供されることで、買い手や借り手が見つかりやすくなるのです。土地家屋調査士による登記の適正化は、放置されがちな空き地を「見える化」し、社会的な管理の対象とするとともに、その利活用を促進するための基礎的な条件を整備する上で不可欠な作業と言えます。

アプローチ3。行政と一緒に街の空き地対策。専門知識で自治体をサポート。

空き地問題の解決は、個々の土地所有者だけの努力では限界があります。地域全体の問題として、市町村などの地方自治体が中心となって対策を進めることが重要です。土地家屋調査士は、その専門知識と地域に根差した活動を通じて、自治体の取り組みを力強くサポートします。

空き家対策協議会などで専門家としてアドバイス。

多くの自治体では、空き家対策を効果的に進めるために「空家対策協議会」などを設置し、様々な分野の専門家の意見を聞きながら計画を立てています。土地家屋調査士やその団体(土地家屋調査士会)は、これらの協議会に委員として参加し、

空き地の現状分析
課題の抽出
具体的な対策の立案

などに専門的な視点から貢献しています。例えば、ある地域で空き地が増えている原因を分析したり、その対策としてどんな法制度が活用できるか提案したりするのです。

自治体の調査や事業にも協力。

また、自治体が実施する空き地・空き家に関する実態調査や、所有者の意向調査などにおいても、土地家屋調査士の測量技術や不動産登記に関する知識が活かされます。

京都府土地家屋調査士会では、府内の市町村の空き家担当窓口を訪問して状況をヒアリングし、行政担当者向けの相談窓口「空き地・空き家サポートデスク」を開設するなどの組織的な支援活動を行っているそうです。また、熊本市では、土地家屋調査士も参加するNPO法人が市と連携して、将来的に所有者が分からなくなる可能性のある土地を早期に把握したり、不動産の情報(カルテ)を作成したり、管理サポートシステムを構築したりするモデル事業に取り組んでいます。

これらの事例は、土地家屋調査士が個々の業務を超えて、組織として地域社会の課題解決に貢献しようとしている姿を示しています。自治体が持つ行政の力と、土地家屋調査士が持つ専門知識が連携することで、より効果的で持続可能な空き地対策が期待できるのです。

アプローチ4。土地の悩み、プロが解決の糸口を。所有者への親身なコンサルティング。

空き地の所有者、特に相続によって予期せず土地を手にした方々は、「この土地、どうしたらいいんだろう。」「何から手をつければいいの。」と途方に暮れてしまうことが少なくありません。そんなとき、土地家屋調査士は不動産の物理的な状況と権利関係の専門家として、具体的で中立的なアドバイスを提供する頼れる相談相手となります。

「この土地、どうしたらいい。」に専門的アドバイス。

まず、土地家屋調査士は、依頼に基づいて空き地の現況を正確に調査・測量し、その結果を所有者に分かりやすく説明します。

土地の正確な面積や境界線の位置
未登記の建物がないか
お隣の土地との間で越境しているものはないか(樹木の枝や塀など)

といった客観的な情報を提供することで、所有者自身が土地の現状を正しく認識するお手伝いをします。

病院でお医者さんが検査結果を説明してくれるように、土地家屋調査士は「あなたの土地は、今こういう状態ですよ」と専門的な視点から教えてくれるのです。

その上で、土地の形状や立地条件などを踏まえて、

有効な活用策(駐車場にする、誰かに貸す、売却するなど)の可能性
管理を続ける場合の注意点(固定資産税、境界の管理、近隣への配慮など)

について、専門家としてのアドバイスを行います。また、空き家になるのを未然に防ぐための早期対応の重要性を伝え、具体的な対策を提案することも期待されます。

相続した土地の管理・活用方法、法的手続きもサポート。

相続によって土地を取得した場合、相続人同士で話し合って、その土地をどうするか決めなければなりません。土地家屋調査士は、

相続登記の手続きに必要な測量(例えば、土地を分けて複数の相続人で相続する場合の「分筆測量」など)

を支援するとともに、不動産の専門家として中立的な立場から情報提供を行うことができます。

近年、「相続登記の義務化(2024年4月1日施行)」や「相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日施行)」といった、土地所有者に関連する新しい法律や制度が始まっています。土地家屋調査士は、これらの新しい制度についても正確な情報を提供し、所有者が適切な選択を行えるようサポートします。例えば、相続土地国庫帰属制度を利用する際には、土地の境界が明確であることが条件の一つとなる場合があり、土地家屋調査士による事前の測量や境界確定が不可欠となるケースも想定されます。

このように、土地家屋調査士は、特に相続が発生した時など、土地の権利や管理に関する意思決定の重要な場面で所有者に寄り添い、専門的な知識を提供することで、空き地の発生予防や問題の早期解決に貢献することができるのです。

アプローチ5。「誰の土地。」を明らかにする。所有者不明土地問題への挑戦。

空き地問題の中でも、特に深刻で解決が難しいのが「所有者不明土地」の問題です。これは、登記簿を見ても現在の所有者が誰なのか分からなかったり、分かっても連絡がつかなかったりする土地のことです。このような土地は、管理も活用もできず、周辺環境への悪影響も大きいため、社会全体で取り組むべき喫緊の課題となっています。

登記簿や戸籍をたどり、所有者を探索。

土地家屋調査士は、普段の業務で隣接する土地の所有者を確認する必要があるため、所有者を探し出すためのノウハウや調査能力を蓄積しています。

所有者不明土地の調査方法(例)

登記記録(現在の登記簿、閉鎖された古い登記簿)の徹底調査
戸籍や住民票の追跡調査(職務上の権限に基づいて請求)
固定資産課税台帳などの行政記録の確認(行政と連携し、守秘義務に配慮)
現地での聞き込み調査
法務局のオンラインデータベースや国土地理院の地図情報の活用

これらの情報をパズルのピースを組み合わせるように多角的に分析し、粘り強く調査することで、現在の所有者やその相続人を特定していきます。

まるで探偵のように、わずかな手がかりから真実に迫っていく…そんな地道で専門的な調査が、所有者不明土地問題の解決には不可欠なのです。

法律に基づく「所有者等探索委員」としての役割も。

所有者不明土地問題への対策として制定された「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」では、土地家屋調査士が登記官の命を受けて所有者等の探索を行う「所有者等探索委員」としての役割を担うことが期待されています。これは、土地家屋調査士の調査能力に対する社会的な信頼と期待の表れと言えるでしょう。

実際に、土地家屋調査士事務所が長年放置されていた空き家の所有者を、離島に引っ越したというわずかな情報を手がかりに探し出し、売買契約に繋げたケースや、相続登記がされないまま何十年も放置され、相続人が多数にわたり連絡が困難だった土地について、大規模な捜索の末に相続人全員と連絡を取り、解決に導いたといった事例も報告されています。

所有者不明土地の調査・特定という業務は、土地家屋調査士にとって新たな挑戦の領域でもありますが、土地の物理的な状況と権利関係を結びつけるという彼らの根本的な役割は変わりません。この困難な問題への対応は、土地家屋調査士の専門性を社会の喫緊の課題解決に活かす新たな道であり、その貢献は今後ますます重要になると考えられます。

この章のポイント

土地家屋調査士が空き地問題に挑む5つのアプローチ
アプローチ1
境界確定
アプローチ2
登記の適正化
アプローチ3
自治体連携
アプローチ4
所有者支援
アプローチ5
所有者不明土地対応
境界線を明確化
紛争予防・解決
地積更正・地図訂正
未登記・誤登記の解消
建物の表題登記等
適正管理・活用の促進
空家対策協議会等へ参加
専門的助言・調査協力
地域ぐるみの対策推進
現況調査・コンサル
管理・活用アドバイス
相続関連手続き支援
所有者の探索・特定
各種記録調査・現地調査
所有者等探索委員の役割

このように、土地家屋調査士は、その専門的な知識と技術を駆使して、空き地問題の様々な側面にアプローチしています。境界の確定から登記の適正化、行政との連携、所有者へのアドバイス、そして所有者不明土地という難題への挑戦まで、その活動は多岐にわたります。これらのアプローチを通じて、一つ一つの空き地が抱える問題を丁寧に解きほぐし、解決へと導いていくのです。

さて、空き地問題の解決には、こうした専門家の活躍と同時に、私たちを取り巻く法律や制度の理解も欠かせません。次の章では、空き地問題に深く関わる最近の法改正や新しい制度について、そしてそれらが土地家屋調査士の活動にどのような影響を与えているのかを見ていきましょう。

【法律も変わる。】空き地対策の新しい動きと土地家屋調査士の活躍ステージ

前の章では、土地家屋調査士が空き地問題に対して、境界確定や登記の適正化、行政との連携など、様々な具体的なアプローチで取り組んでいることを見てきましたね。こうした専門家の地道な活動と並行して、国も空き地問題の深刻さを受け止め、対策を強化するために法律や制度を次々と新しくしたり、改正したりしています。

社会のルールである法律が変わるということは、私たち国民の行動や意識にも変化を促す大きな出来事です。そして、それは土地家屋調査士にとっても、その専門性をさらに活かすべき「新しい活躍のステージ」が用意されることを意味します。この章では、近年の空き地問題に関連する主要な法改正や新しい制度をピックアップし、それぞれがどんな内容で、土地家屋調査士の仕事とどう関わっているのか、一緒に学んでいきましょう。これらの新しい動きを知ることで、空き地問題解決への道筋がより具体的に見えてくるはずです。

空家等対策特別措置法。放置空き家対策の切り札と土地家屋調査士。

皆さんの周りにも、長い間誰も住んでいないように見える家や、庭が荒れ放題になっている家はありませんか。こうした放置された空き家は、景観を損ねるだけでなく、倒壊の危険や防犯上の問題、衛生環境の悪化などを引き起こす可能性があります。この問題に対応するため、平成26年(2014年)11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家特措法といいます)が制定され、その後も改正が重ねられています。

「特定空家等」にしないために、させないために。

この空家特措法は、市町村に対して、空き家の実態調査を行ったり、所有者に適切な管理を指導したりする権限を与えています。特に、そのまま放置すれば周囲に大きな悪影響を及ぼす可能性が高い空き家を「特定空家等(とくていあきやとう)」と指定し、より強い措置を講じることができるようにしました。

特定空家等とは。
具体的には、以下のような状態にある空き家を指します(空家特措法第2条第2項)。

そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

「特定空家等」に指定されると、市町村は所有者に対して、助言や指導、勧告、命令といった段階的な行政指導を行うことができます。それでも改善されない場合は、所有者に過料(罰金のようなもの)を科したり、最終的には市町村が代わりに必要な措置(例えば、建物の解体など)を行う「行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)」も可能とされています(同法第22条など)。

例えるなら、家の定期健診で「このままでは危険ですよ」と警告を受け、それでも改善しない場合には、お医者さん(市町村)が強制的に治療(行政措置)を行うようなイメージです。そうなる前に、所有者自身がきちんと管理することが大切ですね。

土地家屋調査士の専門性が活きる場面。

土地家屋調査士は、この空家特措法の運用において、様々な形でその専門性を発揮します。

空家対策協議会への参画

多くの自治体で設置されている空家対策協議会に専門家として参加し、地域の空き家対策の計画作りや具体的な施策の検討に貢献します。

立入調査への協力

市町村長から委任を受けて、「特定空家等」に該当するかどうかを判断するための立入調査に協力することもあります。

対象物件の正確な把握

行政が「特定空家等」に対して指導や命令、さらには行政代執行といった措置を講じる際には、その対象となる不動産の範囲(どこからどこまでか)や物理的な状況を正確に特定する必要があります。この点で、土地の境界確定や建物の現況調査の専門家である土地家屋調査士の役割は極めて重要です。誤って隣の土地に影響を及ぼすようなことがあってはならないため、土地家屋調査士による事前の調査・測量は、法的に問題なく行政措置を行うための実務上不可欠なプロセスとなります。

登記情報の適正化支援

前章でも触れましたが、建物の現況(所在地、構造、床面積など)が正確に登記されていることは、所有者による適切な管理や、行政による指導・勧告の前提となります。未登記の危険な附属建物がある場合や、増改築によって登記簿と現況が異なっている場合など、土地家屋調査士による調査・測量とそれに基づく登記手続きが、問題の正確な把握と対策の実施に不可欠となるのです。

最近の法改正(令和5年改正空家特措法)では、空き家の活用拡大や管理の確保が一層強化され、例えば、市町村が空家等管理活用支援法人を通じて所有者情報を取得しやすくなる(本人の事前同意が必要な場合あり)など、対策が進めやすくなる工夫も盛り込まれています。

相続登記の義務化。あなたの土地も対象かも。

土地や建物を所有していた方が亡くなると、その不動産は相続人に引き継がれます。しかし、これまでは相続人がその不動産の名義を自分に変更する「相続登記」を行わなくても、特に大きな罰則はありませんでした。その結果、相続登記がされないまま何代も放置され、現在の所有者が誰なのか分からなくなってしまう「所有者不明土地」が増える大きな原因の一つとなっていたのです。

この問題を解決するため、不動産登記法が改正され、2024年(令和6年)4月1日から相続登記の申請が義務化されました。

相続したら登記が必要に。

相続登記の義務化とは。
不動産(土地や建物)を相続したことを知った日から3年以内に、法務局に相続登記の申請をしなければならない、というルールです。正当な理由なくこの義務を怠った場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。(改正不動産登記法第76条の2など)

これは、過去に相続した不動産で、まだ相続登記をしていないものについても対象となります(施行日より前に相続が発生し、まだ登記がされていないケースについては、施行日から3年以内または相続を知った日から3年以内のいずれか遅い日までに登記申請が必要)。

例えるなら、学校で出された宿題のようなものです。「この宿題(相続登記)は、いついつまでに提出してくださいね。もし遅れたら、ちょっとペナルティがありますよ」というイメージでしょうか。

土地家屋調査士が円滑な相続をサポート。

相続登記の義務化に伴い、土地家屋調査士の役割はますます重要になっています。なぜなら、相続登記を行う前提として、相続財産である土地の状況を正確に把握する必要があるからです。

土地の測量(地積確定、分筆)

相続した土地の正確な面積が分からなかったり、登記簿の面積と実際の面積が違っていたりする場合(地積更正登記が必要なケース)、あるいは相続人が複数いて土地を分けて相続したい場合(分筆登記が必要なケース)などには、土地家屋調査士による測量が不可欠です。

境界確定

相続した土地の境界が曖昧なままでは、安心して相続登記をしたり、その後の管理や売却をしたりすることができません。土地家屋調査士が境界を明確にすることで、スムーズな相続手続きを支援します。

所有者への制度説明・相談対応

相続登記の義務化や関連する手続きについて、土地所有者やその相続人に対して分かりやすく説明し、相談に応じます。

土地家屋調査士は、これらの業務を通じて、相続登記が円滑に行われるよう支援し、将来の所有者不明土地の発生を未然に防ぐことに貢献します。なお、相続登記の申請手続きそのものは、主に司法書士の業務となりますので、土地家屋調査士は司法書士と連携しながらサポートを進めることになります。

相続土地国庫帰属制度。管理できない土地を手放す新しい選択肢。

「相続したはいいけれど、遠くて管理できない」「利用する予定もないし、固定資産税だけがかかる」「売りたくても買い手がつかない」…そんな悩みを抱える土地の所有者にとって、一つの新しい道が開かれました。それが、2023年(令和5年)4月27日から始まった「相続土地国庫帰属制度」です。

相続土地国庫帰属制度とは。
相続または遺贈(いぞう、遺言によって財産を譲り受けること)により取得した土地について、一定の要件を満たし、かつ国が定める負担金を納付することで、その土地の所有権を国に引き取ってもらうことができる制度です。(「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」に基づきます)

イメージとしては、使わなくなった古い家具を、一定のルールと費用を負担することで、専門の業者さん(国)に引き取ってもらうような感じでしょうか。ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではなく、いくつかの条件があります。

どんな土地なら国に引き取ってもらえるの。

この制度を利用するためには、その土地が通常の管理や処分をする上で障害となるような事由がないことが求められます。例えば、

建物や工作物(電柱、墓地など)がない更地であること
担保権(借金のカタになっているなど)や利用権(誰かが借りているなど)が設定されていないこと
土壌汚染や埋設物(ゴミなど)がないこと
境界が明らかであること
崖地など、管理に過大な費用や労力がかかる土地でないこと

といった条件があり、法務局の審査を経て承認される必要があります。また、承認された場合には、その土地の種類や面積に応じて算出される10年分の土地管理費相当額の「負担金」を納付する必要があります。

ここでも土地家屋調査士の出番。

相続土地国庫帰属制度の利用申請においても、土地家屋調査士の専門知識が役立ちます。

境界確定測量

申請の要件として「境界が明らかであること」が求められるため、境界が曖昧な場合には、申請に先立って土地家屋調査士に境界確定測量を依頼する必要が生じることが多くあります。

現況調査

土地の上に建物や工作物がないか、管理上の障害となるようなものがないかなど、現地の状況を詳細に調査します。

申請要件に関する助言

所有者が持つ土地が制度の対象となり得るか、どんな準備が必要かなど、専門的な視点からアドバイスを行います。

相続登記の義務化とこの相続土地国庫帰属制度は、いわば「車の両輪」として機能することが期待されています。相続によって土地の所有者になった人は、まず自分の権利と責任を自覚し(相続登記)、もしその土地が不要で管理に困る場合には、国庫帰属という「出口」も用意されることで、土地が放置されるのを防ごうというわけです。この一連のプロセスにおいて、土地家屋調査士は、相続人に寄り添い、専門的なサービスを提供することで、制度の円滑な運用を支える重要な役割を担っています。

低未利用土地権利設定等促進計画。使われていない土地を活かす新たな仕組み。

都市部でも地方でも、適切な利用がなされず、かといって空き家対策の対象となる建物があるわけでもない「低未利用土地」が増えています。こうした土地の活用を促すため、都市計画法などの一部改正により「低未利用土地権利設定等促進計画」という新しい制度が創設されました。

低未利用土地権利設定等促進計画とは。
市町村が中心となって、あまり利用されていない土地(低未利用土地)の所有者と、その土地を使いたい利用希望者とを積極的に結びつけ、土地や建物の利用に必要な権利(所有権や借地権など)の設定等に関する計画を作成し、一括して権利設定等を行うことを可能にする仕組みです。

この制度は、特にコンパクトシティ政策などで重要な「立地適正化計画」の居住誘導区域などを対象とし、市町村が地権者の探索も含めて積極的に関与することを特徴としています。

例えるなら、市町村が「土地の仲人さん」となって、使われていない土地と、それを使いたい人との「お見合い」をセッティングし、うまくカップル(契約)が成立するように、計画全体をコーディネートするようなイメージです。

土地家屋調査士の知見が計画を支える。

この「低未利用土地権利設定等促進計画」の策定や実行プロセスにおいても、土地家屋調査士の専門性が様々な場面で活かされます。

計画対象地の正確な把握

計画の対象となる低未利用土地の範囲、権利関係、物理的な状況(面積、形状、境界など)を正確に把握する必要があり、これには土地家屋調査士による調査・測量が不可欠です。

複雑な権利調整や区画整理への対応

複数の土地にまとめて利用権を設定する場合や、隣り合う土地を取得して一体的に利用を図る場合など、複雑な権利の調整や土地の区画を整理する必要が生じるケースも考えられます。このような場面で、土地家屋調査士の専門的な知見が求められます。

指定法人への参画

市町村長は、地域の専門家(宅地建物取引業者、司法書士・土地家屋調査士など)や学識経験者などを構成員として、所有者不明土地や低未利用土地等の利活用に取り組むNPO法人や一般社団法人などを、公的な信用力を持つ「指定法人」として指定することができます。土地家屋調査士やその団体は、このような指定法人に参画することで、より組織的かつ戦略的に低未利用土地問題の解決に貢献できる道が開かれます。

この制度は、個別の土地に対するミクロなアプローチだけでなく、面的な広がりを持った地域課題の解決を目指すものです。土地家屋調査士が、個々の土地の筆界や表示に関する専門知識を活かしつつ、まちづくりや地域再生といったより大きな視点からこの計画に関与することは、その職能の新たな可能性を示すものと言えるでしょう。

この章のポイント

空き地管理に影響を与える主要法制度と土地家屋調査士の役割

法制度名 空き地関連の主要規定 土地家屋調査士の具体的関与・機会
空家等対策特別措置法 実態調査、所有者への指導、特定空家等の指定・措置(助言・指導・勧告・命令・代執行等) 自治体の協議会参加、立入調査協力、対象物件の現況調査・測量、境界確定、登記情報の適正化支援
相続登記の義務化
(不動産登記法改正)
相続による不動産取得を知った日から一定期間内の登記申請義務化(2024年4月1日~) 相続に伴う土地の測量(地積確定、分筆等)、境界確定、登記申請支援、所有者への制度説明・相談対応
相続土地国庫帰属制度 一定要件を満たす相続土地の国庫への帰属承認(2023年4月27日~) 申請予定地の境界確定測量、現況調査(障害物等の確認)、申請要件に関する助言、関連登記手続き支援
低未利用土地権利設定等促進計画
(都市計画法等改正)
市町村による低未利用土地の権利設定等計画の作成、地権者と利用希望者のコーディネート 計画対象地の調査・測量、権利関係の確認、指定法人への参画、計画策定・実行支援

(上記以外にも、例えば「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」では、土地家屋調査士が所有者等探索委員として調査活動を行うなど、多岐にわたる法律・制度でその専門性が求められています。)

このように、空き地問題を取り巻く法制度は、社会の変化に対応して常にアップデートされています。そして、そのいずれの制度においても、土地家屋調査士が持つ不動産の物理的現況や権利関係に関する専門知識、正確な調査・測量技術が不可欠な役割を果たしていることがお分かりいただけたかと思います。これらの法律や制度を効果的に活用し、土地家屋調査士の専門性を最大限に引き出すことが、深刻化する空き地問題の解決に向けた重要な鍵となるのです。

では、こうした法制度や専門家の活動が、実際の現場でどのように連携し、どんな成果を上げているのでしょうか。次の章では、具体的な成功事例や連携モデルについて見ていくことにしましょう。

【みんなで解決。】土地家屋調査士と地域が連携した成功事例から学ぼう

これまでの章で、空き地問題の現状、土地家屋調査士という専門家の役割、そして空き地対策を後押しする新しい法律や制度について見てきました。理論や仕組みを理解することも大切ですが、「じゃあ、実際にどんな風に問題が解決されているの。」「私たちの地域でもできることはあるの。」と、具体的な事例を知りたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

空き地問題は、一つの組織や専門家だけで解決できるほど簡単なものではありません。まるで、難しい病気に立ち向かう医療チームのように、様々な立場の人々がそれぞれの専門性や強みを持ち寄り、協力し合うことで、初めて解決の光が見えてくるのです。この章では、土地家屋調査士が地域社会や他の専門家と力を合わせ、空き地問題の解決に貢献した具体的な成功事例や、効果的な連携モデルをご紹介します。これらの事例から、私たち自身の地域での取り組みのヒントや、連携・協働の大切さを学んでいきましょう。

所有者不明土地の解決事例。「あきらめない調査」が生んだ奇跡。/h3>

前の章でも少し触れましたが、「所有者不明土地」は空き地問題の中でも特に厄介な存在です。しかし、土地家屋調査士の粘り強い調査と専門知識が、不可能と思われた状況を打開するケースがあります。

ある事例では、40年以上も放置され、複数の不動産業者も匙を投げていた空き家の所有者を、土地家屋調査士が「以前、離島に引っ越したらしい」という、たった一つの手がかりから探し出したそうです。これは、まるで難解なパズルを一つ一つ解き明かしていくような作業だったことでしょう。その結果、最終的に土地の売却が実現し、長年放置されていた問題が解決へと向かいました。

また別の事例では、相続登記がされないまま20年以上が経過し、相続人の数も増え、関係も複雑化していた土地がありました。連絡を取ることすら困難な状況でしたが、土地家屋調査士が大規模な捜索を行い、ついに相続人全員の連絡先を突き止めました。そして、最終的には不動産会社による買取りという形で、この複雑な問題が解決に至ったのです。

これらの話を聞くと、まるで忘れ去られた宝の地図を読み解き、隠された財宝(この場合は問題解決の糸口)を見つけ出す探検家のような姿が思い浮かびますね。

ここから学べる教訓。
所有者不明土地問題の解決には、土地家屋調査士の高度な調査能力、専門知識、そして何よりも「あきらめない粘り強さ」が不可欠であるということです。困難な状況でも、専門家が丹念に情報をたどることで、解決の道が開ける可能性があることを示しています。

自治体・NPO・専門家が連携。「チーム」で挑む地域の課題解決。

空き地問題は、個々の土地の問題であると同時に、地域全体の課題でもあります。そのため、行政、地域住民、そして土地家屋調査士を含む専門家が「チーム」として連携し、それぞれの役割を果たすことが非常に効果的です。

広島県の「広島型ランドバンク」の取り組み

広島県で推進されている「広島型ランドバンク」という事業があります。これは、小さな区画の土地を少しずつ再編し、それを連鎖させていくことで、住みやすい環境を整備しようというユニークな試みです。このような事業を進める上では、個々の土地の正確な測量や権利関係の整理が絶対に必要であり、土地家屋調査士の協力が事業成功の前提となっています。

山形県鶴岡市「つるおかランド・バンク」の活動

NPO法人(特定非営利活動法人)とは。
利益を目的とせず、社会的な課題の解決や公益的な活動を行う民間の組織のことです。

山形県鶴岡市では、「つるおかランド・バンク」というNPO法人が活躍しています。このNPOには、不動産業者や建築士だけでなく、司法書士、土地家屋調査士、行政書士といった様々な分野の専門家が参加しています。そして、市と連携しながら、空き家の利活用支援から、エリア全体の再編といった「まちづくり」までを手掛けています。まさに、専門家集団が地域課題の解決に総合的に取り組むモデルケースと言えるでしょう。

熊本市とNPO法人「地域再生・百年ライフサポート協会羅針盤」の連携事業

筆者の地元、熊本市でも先進的な取り組みが進められています。市と、土地家屋調査士も主要メンバーとして参画するNPO法人「地域再生・百年ライフサポート協会羅針盤」が協定を結び、連携して活動しています。

具体的な活動内容
所有者不明土地「予備軍」の把握。将来問題になりそうな土地を早期に発見します。
不動産「カルテ」の作成。土地や建物の情報を整理し、データベース化します。
管理サポートシステムの構築。適切な管理を支援する仕組みを作ります。
合同無料相談会の開催。市民が気軽に専門家に相談できる場を提供します。

このように、行政と専門家NPOが密接に連携することで、問題の早期発見から具体的な解決支援まで、きめ細やかな対応が可能になっています。これは、空家等対策特別措置法などが目指す、官民連携による課題解決の理想的な形の一つと言えるでしょう。

ここから学べる教訓。
空き地問題という複雑な課題に対しては、行政、NPO、そして土地家屋調査士を含む多様な専門家が、それぞれの強みや専門性を持ち寄り、情報を共有し、一体となって取り組むことが極めて有効であるということです。まるでオーケストラのように、各楽器(専門家や組織)がそれぞれのパートを正確に奏でることで、美しいハーモニー(問題解決)が生まれるのです。

空き家・空き地バンク運営サポート。情報の「信頼性」を高める土地家屋調査士。

空き家・空き地バンクとは。
自治体などが中心となって、空き家や空き地を「売りたい・貸したい」と考えている所有者から情報提供を受け、それを「買いたい・借りたい」と考えている利用希望者に紹介する仕組みのことです。インターネットなどを通じて情報が公開されることが多いです。

この空き家・空き地バンクは、使われていない不動産の流通を促進し、利活用を図るための有効な手段として全国で導入が進んでいます。しかし、バンクに登録される物件の情報が不正確だったり、境界が曖昧だったりすると、せっかくの仕組みも円滑に機能しません。

そこで、土地家屋調査士の出番です。

登録物件の境界確定。安心して取引できる前提を整えます。
現況調査。建物の状態や土地の利用状況を正確に把握します。
地積測量図などの作成。物件情報の信頼性を高めます。

土地家屋調査士がこれらの業務を通じて物件情報の正確性と信頼性を担保することで、バンクを通じた売買や賃貸借契約がスムーズに進み、空き地の流通促進、ひいては地域の活性化に繋がるのです。

お店で商品を買うとき、その商品の情報(品質、サイズ、素材など)が正確でなければ安心して買えませんよね。空き家・空き地バンクも同じで、土地家屋調査士が提供する正確な情報が「信頼の証」となるのです。

ここから学べる教訓。
不動産の流通においては、情報の正確性と信頼性が何よりも重要であるということです。土地家屋調査士が専門家として物件情報を精査し、保証することで、市場の透明性が高まり、安心して取引できる環境が整います。

住民パワーと専門家の知恵。自治会主導の空き地管理。

行政や専門家だけでなく、地域住民自身が主体となって空き地問題に取り組む動きも見られます。

例えば、千葉県八千代市のある自治会では、地域内の空き地の位置や状況を調査・評価し、所有者からの依頼を受けて有償で草刈りなどの維持管理を行っているそうです。これは、身近な地域の課題を、地域住民自身の手で解決しようという素晴らしい取り組みですね。

このような地域住民主体の活動においても、土地家屋調査士がサポートできる場面は多くあります。

空き地の正確な範囲を把握するための測量支援
所有者との合意形成を円滑に進めるための専門的アドバイス
管理作業を行う上での法的な注意点などの情報提供

ここから学べる教訓。
地域コミュニティの力と、専門家の適切なサポートが組み合わさることで、よりきめ細やかで持続可能な空き地対策が実現できる可能性があるということです。「自分たちのまちは自分たちで良くする」という住民の意識と、それを支える専門家の知恵が、大きな力を生み出すのです。

事例から学ぶ。「連携・協働」こそが成功の鍵。

これまで見てきた様々な事例から浮かび上がってくる共通のテーマは、空き地問題の解決には「多様な主体との連携・協働が不可欠である」ということです。

土地家屋調査士は、不動産の物理的現況の調査や境界確定といった専門領域で中核的な役割を担いつつ、行政、NPO、他の専門家(司法書士、弁護士、不動産鑑定士、宅建士、建築士など)、そして地域住民と効果的に協力することで、その貢献度を一層高めることができます。

土地所有者や自治体にとっては、問題の性質や段階に応じて、適切な専門家や組織にスムーズにアクセスできる「ワンストップ」に近い相談体制が整備されることが望ましいと言えるでしょう。土地家屋調査士は、このような連携ネットワークの中で、問題解決プロセスの初期段階から関与し、不動産の物理的現況と権利の明確化という基盤的な役割を果たすことで、その後の円滑な対策実行に大きく貢献するのです。

この章のポイント

空き地問題解決のための連携・協働事例
事例のタイプ 土地家屋調査士の主な役割と連携のポイント

所有者不明土地の解決

高度な調査能力による所有者特定
粘り強い情報収集と分析

(例:報告書の事例)

自治体・NPO・専門家連携

地域課題解決チームの一員として専門性提供
測量、権利整理、計画策定支援

(例:広島型ランドバンク、鶴岡市、熊本市)

空き家・空き地バンク運営

物件情報の正確性・信頼性担保
境界確定、現況調査、図面作成

(流通促進と市場の活性化)

住民(自治会)主導の管理

地域活動への専門的サポート
測量、合意形成支援、法的助言

(住民の主体性と専門家の知恵の融合)

共通する教訓。多様な主体との「連携」と「協働」が問題解決のカギ。

土地家屋調査士は、その中で専門性を活かし、基盤整備と円滑な対策実行に貢献。

これらの事例は、空き地問題という大きな壁に立ち向かうための勇気とヒントを与えてくれますね。一人の力、一つの組織の力には限界がありますが、多くの知恵と力が結集すれば、必ず道は開けるはずです。

さて、このように進化する社会のニーズや法制度の変化、そして多様な連携の中で、土地家屋調査士自身もまた、その役割や貢献のあり方を常に模索し、発展させていく必要があります。次の章では、土地家屋調査士の将来的な貢献の可能性や、私たち自身がこの問題にどう向き合っていくべきかについて考えてみましょう。

【未来に向けて】土地家屋調査士のこれからと、私たち一人ひとりができること

これまで、深刻化する空き地問題の現状から、頼れる専門家である土地家屋調査士の役割、空き地対策を後押しする新しい法律や制度、そして地域での具体的な解決事例まで、様々な角度から見てきました。これらの情報を通じて、空き地問題の複雑さと、その解決に向けた多様な取り組みについてご理解いただけたのではないでしょうか。

さて、この章では視点を「未来」に向けてみましょう。社会が変化し続ける中で、土地家屋調査士にはどのような役割が期待され、彼ら自身はどのように進化していくのでしょうか。そして、最も大切なこととして、この空き地問題に対して、専門家任せにするのではなく、私たち一人ひとりが「自分ごと」として何ができるのか、一緒に考えていきたいと思います。未来のより良い土地管理を実現するために、今、私たちが踏み出すべき一歩とは何でしょうか。

ますます高まる土地家屋調査士への期待。未来の土地管理を支えるプロフェッショナル。

日本社会が直面する人口構造の変化や都市構造の変容、そしてそれらに対応するための法制度の整備は、土地家屋調査士の業務と役割に新たな、そしてより重要な意味合いを与えつつあります。

社会の変化と新たな責任。

前の章でも触れた「相続登記の義務化」や「相続土地国庫帰属制度」の施行は、土地の所有と管理に関する国民の意識と行動に大きな変化を促しています。これらの制度が円滑に機能するためには、相続が発生した際の土地の境界確定測量や現況調査、あるいは国庫帰属申請のための図面作成など、土地家屋調査士の専門性が不可欠となる場面がますます増えていくことが確実です。

また、解決が非常に困難な「所有者不明土地問題」への対応も、土地家屋調査士の新たな責任領域として、より一層明確化されています。関連する法律(表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律など)の整備により、土地家屋調査士が「所有者等探索委員」として公的な役割を担う道が開かれたことは、その専門性に対する社会的な期待の高さを示しています。将来的には、所有者の特定が困難な土地に関する調査業務は、土地家屋調査士の業務の重要な柱の一つとなる可能性があり、さらには、最終的に所有者が特定できなかった土地の管理についても、土地の筆界や物理的状況を最もよく理解する専門家として、土地家屋調査士が何らかの形で関与していくことも考えられます。

国の「土地ガバナンス」向上への貢献。

土地ガバナンスとは。
国や社会が、土地を公正かつ効率的に管理し、利用するための仕組みや統治能力のことです。これには、土地の所有権の明確化、適切な土地利用計画、土地情報の透明性などが含まれます。

土地家屋調査士の使命を定めた土地家屋調査士法第1条には、「不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資すること」と記されています。この使命は、現代社会において、国の「土地ガバナンス」の向上に貢献するという、より大きな意味を持つようになっています。

例えるなら、土地家屋調査士は、国の土地に関する正確な「戸籍係」であり、また土地の「健康診断医」のような役割を担っていると言えるでしょう。誰が、どこに、どのような状態の土地を持っているのかを正確に把握し、それを公的に記録することで、国全体の土地管理の基盤が整い、様々な土地政策が効果的に実施できるようになるのです。

相続登記の義務化、所有者不明土地対策、そして土地家屋調査士自身の使命規定の明確化。これらの要素が複合的に作用することで、土地家屋調査士は、国の土地情報の透明性を高め、適正な土地利用を促進する上で、より積極的かつ中心的な役割を担うことが期待されています。

土地家屋調査士自身も進化。価値を高めるための5つの取り組み。

社会からの期待が高まる中、土地家屋調査士自身も、その専門業務の価値と影響力を一層高めていくために、変化を恐れず、積極的に進化していく必要があります。

1. 専門能力のバージョンアップ。新しいスキルの習得。

従来の測量技術や登記知識に加え、例えば所有者不明土地の調査業務においては、戸籍や住民票の追跡、古い地図や歴史的資料の読解、場合によっては系図調査に近いスキルや、集積された情報を分析する高度なデータ分析能力などが求められるようになるかもしれません。土地家屋調査士会などを通じた研修制度の充実や、先進的な調査手法に関する情報共有がますます重要になります。

2. より良い社会のための政策提言。現場の声を届ける。

土地家屋調査士は、日々の業務を通じて土地問題の最前線に接している専門家です。その実務経験から得られる知見や課題認識を、国や地方自治体の政策立案プロセスに積極的にフィードバックしていくことが期待されます。現場のリアルな声が反映されることで、より実効性の高い空き地対策や所有者不明土地対策が推進されることに繋がります。

3. テクノロジーとの融合。新しい道具で未来を拓く。

AI(人工知能)、ドローンを使った測量、GIS(地理情報システム)といった新しい技術は、土地家屋調査士の業務をより効率的にし、精度を高める大きな可能性を秘めています。

例えば、ドローンを使えば、広範囲の土地の状況を短時間で把握したり、人が立ち入りにくい場所の測量も可能になります。また、AIが膨大な登記記録や地図情報から関連性の高い情報を抽出する手助けをしてくれるかもしれません。これは、熟練した職人が新しい高性能な道具を手に入れることで、さらに素晴らしい仕事ができるようになるのと同じです。

もちろん、人間の判断や現場での細やかな対応が全てAIや機械に置き換わるわけではありませんが、これらの技術を積極的に導入し、活用していく姿勢が求められます。

4. チーム力の強化。他専門家との連携をさらに深く。

空き地問題や所有者不明土地問題は、法律、税務、不動産取引、まちづくりなど、多岐にわたる専門分野が関わる複合的な課題です。そのため、司法書士、弁護士、税理士、不動産鑑定士、宅地建物取引士、建築士といった他の専門家や、NPO法人などとの連携を一層強化し、それぞれの専門性を活かした包括的な解決策を提供できる体制を構築することが重要です。

5. 「知ってもらう」努力。国民への啓発活動の推進。

土地の適正な管理、正確な登記、明確な境界の重要性について、一般市民、特に土地の所有者やその相続人になる可能性のある方々に対して、分かりやすく情報提供を行う必要があります。土地家屋調査士の役割や業務内容についての理解を深めてもらうことで、問題が深刻化する前の早期相談に繋がり、いわば「問題の予防接種」のような効果も期待できるのです。

これらの積極的な取り組みを通じて、土地家屋調査士は、単に依頼に応じて業務を行うだけでなく、より能動的に社会課題の解決に貢献する専門家集団としての地位を確立し、その社会的価値を一層高めていくことでしょう。

空き地問題を「自分ごと」に。私たち一人ひとりができること。

ここまで、空き地問題の現状と、その解決に向けた専門家や行政の取り組み、そして未来への展望についてお話ししてきました。しかし、この問題の解決は、専門家や行政だけに任せておけば良いというものではありません。私たち一人ひとりが、この問題を「自分ごと」として捉え、できることから行動していくことが、何よりも大切です。

まずは関心を持つことから。

「空き地問題なんて、私には関係ないわ」と思っていませんか。でも、思い出してください。空き地は、いつ、どこで、誰の問題になるか分かりません。もしかしたら、あなたの実家が、あるいは将来あなたが相続するかもしれない土地が、明日の空き地問題の当事者になる可能性だってあるのです。まずは、この問題に関心を持ち、社会全体で考えるべき課題なのだという意識を持つことが第一歩です。

具体的なアクションプラン。できることから始めよう。

ステップ1。自分の土地(または関わりのある土地)を知る。

ご自宅やご実家、あるいは将来相続する可能性のある土地について、一度じっくりと情報を確認してみませんか。

登記情報はどうなっているか。誰の名義か、地目(土地の種類)は何か、面積は正しいかなど、法務局で登記事項証明書を取得して確認してみましょう(取得には手数料がかかります)。
境界はハッキリしているか。お隣の土地との境界を示す杭(境界標)はあるか、ブロック塀やフェンスは適切な位置にあるか、意識して見てみましょう。

これは、年に一度、自分の家の周りを点検してみるようなものです。雨どいが詰まっていないか、壁にひび割れはないか、といったチェックと同じように、土地の状態にも関心を持ってみましょう。

ステップ2。早めに相談する勇気を持つ。

もし、登記情報がおかしい、境界がよく分からない、管理方法に困っている、相続したけどどうしたら良いか分からない、といった疑問や不安が出てきたら、一人で悩まずに専門家に相談することが大切です。

土地家屋調査士は、土地の境界や表示に関する登記の専門家です。
司法書士は、相続登記などの権利に関する登記の専門家です。
自治体の相談窓口でも、適切なアドバイスや専門家の紹介をしてくれる場合があります。

体の調子が少し悪いな、と感じたら早めにお医者さんに行くのと同じです。問題が小さいうちに対処すれば、時間も費用も少なく済み、より良い解決に繋がることが多いのです。

ステップ3。地域の取り組みに関心を持つ・参加する。

お住まいの地域で、空き地対策に関する説明会やイベント、ボランティア活動などが行われていたら、積極的に関心を持ち、できる範囲で参加してみるのも良いでしょう。地域の課題を共有し、みんなで知恵を出し合うことが、より良いまちづくりに繋がります。

空き地問題の解決は、一朝一夕に達成できるものではありません。しかし、私たち一人ひとりが小さな一歩を踏み出すことで、その流れは確実に良い方向へと変わっていくはずです。

この章のポイント

未来に向けた空き地問題へのアプローチ

土地家屋調査士への期待

所有者不明土地問題への本格対応
国の土地ガバナンス向上への貢献

(相続登記義務化等の新制度運用支援)

土地家屋調査士自身の進化

専門能力の向上・新スキル習得
政策提言、技術革新への対応(AI、ドローン等)
他専門家との連携強化、国民への啓発

私たち一人ひとりができること

空き地問題を「自分ごと」として意識
自分の土地の状況把握(登記・境界確認)
専門家への早期相談、地域の取り組み参加

土地家屋調査士は、その専門性と使命感をもって、未来の土地管理のあり方を形作る上でますます重要な役割を担っていきます。そして、私たち市民もまた、その取り組みを理解し、協力し、自らも行動することで、空き地のない、豊かで安全な地域社会を共に築いていくことができるのです。

さて、この長い道のりもいよいよ最終章です。これまでの議論を総括し、持続可能な土地管理における土地家屋調査士の不可欠な役割と、私たちが目指すべき未来について、改めて確認していきましょう。

【まとめ】空き地問題は、土地家屋調査士と共に解決の道へ。

このブログを通じて、私たちは日本の社会が直面する「空き地問題」という大きな課題について、その現状から原因、影響、そして解決に向けた様々な取り組みまで、長い旅をしてきました。専門家である土地家屋調査士の役割、目まぐるしく変わる法律や制度、地域での具体的な成功事例、そして未来への展望と私たち一人ひとりができること。多くの情報に触れていただく中で、この問題の根深さと、解決への道のりの険しさ、しかし同時に、そこには確かに希望の光があることも感じていただけたのではないでしょうか。

この最終章では、これまでの議論を総括し、空き地問題の解決、そして持続可能な土地管理の実現に向けて、私たちが心に留めておくべき最も大切なメッセージをお伝えしたいと思います。

土地家屋調査士。持続可能な土地管理に不可欠な「羅針盤」。

日本における空き地問題は、人口減少や高齢化、相続形態の変化といった、避けては通れない社会構造的な要因を背景に、その深刻さを増しています。これは、単に使われていない土地が増えるという現象に留まらず、地域の安全や景観、経済活動、さらには私たちの財産管理意識にまで、広く深い影響を及ぼす「社会の病」とも言えるでしょう。

唯一無二の専門家、その重責。

このような複雑な状況下において、土地家屋調査士は、不動産の物理的な状況を明らかにする「表示に関する登記」と、土地の法的な範囲を画定する「筆界(境界)」の専門家として、まさに唯一無二の存在です。その専門性は、

正確な土地の境界確定による紛争の未然防止と解決
未登記物件や誤った登記の是正による不動産価値の回復
地方自治体が進める空き地対策への技術的・専門的支援
土地所有者への適切なコンサルテーションと意思決定のサポート
そして、極めて困難な課題である所有者不明土地の調査・特定

といった、問題解決のあらゆる局面で不可欠な役割を担っています。まるで、経験豊かな「土地のドクター」のように、一つ一つの土地が抱える問題を的確に診断し、最適な治療法を施していくのです。

近年の「空家等対策特別措置法」の施行と改正、「相続登記の義務化」、そして「相続土地国庫帰属制度」の創設といった一連の法制度改革は、土地家屋調査士の活動領域をさらに広げ、その社会的責任を一層重いものとしました。これらの新しい法的枠組みが実効性を持ち、円滑に運用されるためには、土地家屋調査士による現場レベルでの正確な調査・測量、登記手続きの支援、そして関係者への専門的助言が欠かせないのです。

未来を照らす「羅針盤」として。

土地家屋調査士は、その倫理的義務と公益への貢献という高い使命感に基づき、個々の依頼に応えるだけでなく、地方自治体やNPO、他の専門家と積極的に連携し、地域社会全体の課題解決に貢献する姿勢を強めています。これは、土地家屋調査士が単なる技術者ではなく、社会のインフラを支える重要な担い手であることを明確に示しています。

まさに、報告書が結論付けているように、土地家屋調査士は、この複雑で先行き不透明な空き地問題という大海原において、日本の土地が適切に管理され、次世代へと確実に引き継がれていくための正しい道筋を照らし出す「羅針盤」としての役割を果たし続けることでしょう。その貢献は、安全で安心な国民生活の基盤を強化し、豊かな社会の実現に不可欠なのです。

あなたの「困った」に寄り添う専門家。いますぐ相談を。

このブログを読んで、「うちの土地も、もしかしたら…」「相続したけど、手続きがよく分からない…」といった不安や疑問を感じた方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、「空き家になりそうな実家があるけど、何かできることはないだろうか」と考えている方もいるでしょう。

そんな時、どうか一人で悩まず、専門家である土地家屋調査士に相談することを考えてみてください。

こんな「困った」、ありませんか。

「お隣さんとの境界線が曖昧で、ちょっと心配…」
「昔の登記のままで、今の土地の面積と合っているか不安…」
「親から土地を相続したけど、どんな手続きが必要なの。」
「使っていない土地があるけど、どう活用したらいいか分からない…」
「将来、自分の土地が空き地にならないか心配…」

これらの悩みは、決して特別なものではありません。そして、問題が小さいうちに、あるいは問題が顕在化する前に専門家に相談することで、よりスムーズに、より少ない負担で解決できる可能性が高まります。

風邪も、ひきはじめに早めに休んだり、お医者さんにかかったりすれば、こじらせずに済みますよね。土地の問題も同じです。早期発見、早期相談が、何よりも大切なのです。

土地家屋調査士へのアクセス方法。

「専門家に相談するなんて、敷居が高いのでは…」と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。土地家屋調査士は、あなたの街の身近な法律と測量の専門家です。

お近くの土地家屋調査士を探すには、

日本土地家屋調査士会連合会のウェブサイト
各都道府県にある土地家屋調査士会のウェブサイト

などで検索することができます。また、多くの土地家屋調査士事務所では、初回の相談を無料で行っている場合もありますので、まずは気軽に問い合わせてみることをお勧めします。

土地のことで悩んだら、まずは土地家屋調査士にご相談ください。

日本土地家屋調査士会連合会ウェブサイトへ

(お住まいの地域の土地家屋調査士会も検索できます)

共に築く、豊かで安全な未来。空き地問題解決への希望。

空き地問題の解決は、土地家屋調査士という専門家の力だけで成し遂げられるものではありません。彼らの専門的な知識や技術と、私たち市民一人ひとりの問題意識、そして具体的な行動が組み合わさってこそ、大きな推進力が生まれます。

このブログ記事が、皆さまにとって、空き地問題への理解を深め、土地家屋調査士という頼れる専門家の存在を知っていただく一助となれば幸いです。そして何よりも、ご自身の土地や地域の未来について考え、小さな一歩でも行動を起こすきっかけとなることを心から願っています。

空き地問題の解決の先には、適切に管理され、有効に活用される土地が織りなす、安全で安心な生活環境、そして活気ある地域社会が待っています。それは、私たち自身、そして未来の世代のための、豊かで持続可能な社会の実現に他なりません。

土地家屋調査士と共に、そして地域社会の皆さんと共に、希望を持ってその未来を築いていきましょう。


本記事は、提供された空き地問題に関する報告書(「空き地問題における土地家屋調査士の関与のあり方」)の情報を基に構成されています。法制度や具体的な手続きについては、必ず最新の情報を専門家にご確認ください。

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